このページでわかる事
- セラミック矯正とは
- セラミック矯正後に起こる不具合
セラミック矯正で
手に入るものと失うもの
スピード矯正とも言われるセラミック矯正は、治療開始から数日で美しい歯並びを手に入れられる治療法です。(※原則として歯科にセラミック矯正と呼ばれる治療はありません。)
セラミック矯正は短期間で歯並びを整える治療法の一つですが、メリットと同時に大きなデメリットがあるのも事実です。セラミック矯正を選ばれる前に、ぜひリスクについてもご理解頂けたらと思います。
セラミック矯正に潜む落とし穴
短期間で歯並びを整えるために歯を抜くことも
セラミック矯正は短期間で歯並びを整える治療法です。通常は歯を削ってセラミックの被せ物をすることで歯並びを整えますが、極度な出っ歯や受け口などの場合は歯を移動させるのではなく、健康な歯を抜歯することがあります。歯がない部分についてはブリッジにて補います。スピードのみを追求し歯を抜いてお口の健康寿命を縮めてしまうセラミック矯正には注意が必要です。
神経除去(根管治療)を行う
ラミネートべニアなど歯の表面にセラミックを貼り付ける治療や歯を動かす矯正治療であれば基本的に神経の除去(根管治療)は不要です。しかし、セラミック治療で出っ歯などの歯並びを調整するためは、より多くの健康な歯を削らなければなりません。神経ギリギリまで削ったり、場合によっては神経が露出することもあります。そのようなケースではわざわざ健康な歯の神経を取る「根管治療」が必要となり、歯の寿命を著しく縮めてしまいます。
想像以上に
自分の歯を削られている
セラミック矯正後、削られた状態の歯を確認される患者様はほとんどいらっしゃいません。セラミック矯正のトラブルでノアへご来院された患者様の中には削られた歯を初めてご覧になり「こんなに削られていたなんて…」と後悔される方がたくさんいらっしゃいます。
出っ歯など、歯の傾きをセラミック治療で治す場合には、ご自身の想像以上に健康な歯を削らなければならないのです。
セラミック矯正後のトラブル
セラミックの中が虫歯になる
患者様自身では気づかないようなわずかな隙間があるだけでも、治療後にトラブルを引き起こしかねません。セラミックそのものは虫歯になりにくい素材です。しかし例えば、セラミックと歯がぴったりと接着されずに隙間ができると、細菌が侵入してセラミックの中に虫歯を作ってしまうこともあります。
セラミック矯正では失敗やトラブルを避けるためにも「適切な支台歯形成」「正確な支台歯の型採り」「隙間のない歯とセラミックの接着」など、治療の各ステップで細心の注意を払われなければなりません。
神経治療(根管治療)の失敗で歯茎から
膿がでる(根管治療のやり直し)
セラミック矯正に伴う神経除去(根管治療)では、不十分な神経除去(汚染・神経の取り残しがあるなど)の場合、取り残された歯の神経が腐敗したり、感染するリスクがあります。歯の根の先には小さな穴があいているため、処置が不十分だとそこから炎症が広がり歯茎や顎の骨に膿が溜まってしまうのです。
神経の入っている管は非常に複雑で、根管治療は難易度の高い治療です。東京医科歯科大学の須田教授の調査では神経の除去治療を行った患者様の50%以上が根の先に膿が溜まるなどの病気を発現しているとの報告もあります。膿のにおいにずっと悩まされたり、最終的には抜歯になったりと、神経除去後の予後不良の症例は非常に多い事が分かります。
神経を取ること自体は簡単です。しかしリスクを完全に排除する適切な根管治療は非常に難しいものであることは把握しておいて下さい。
歯(歯根)が折れる
セラミック矯正では歯が大きく傾いている場合、多くの歯を削り、神経を除去することがあります。歯を削ることで歯の耐久力が落ちてしまったり、神経を抜くことで歯に栄養がいかなくなり歯は脆くなります(歯がミイラ化する)。そうした歯並びを整えるための処置が歯を脆くさせてしまい、歯が折れる可能性があります。
これらはセラミックのやり直しが必要になるだけでなく、ご自身の歯を失ったり、やり直しすら難しくなることもあります。
精度の低いセラミック治療は数年で不具合が確認されることがあります。
治療後に虫歯などのトラブルが発覚して治療をやり直す場合、健康な歯へさらなる負担をかけなければなりません。もし数本のセラミックを連結しているならば、そのうちたった1本の歯の不調であっても、全てのセラミックを外して再治療する必要があります。
その上でセラミック矯正
を検討の方へ
精度の高い高水準のセラミック治療・神経治療(根管治療)を行っている歯科医院はノアを始め、日本でも一定数存在しています。
しかし、どんなに優れたセラミック治療であっても、健康な天然歯に勝ることはありません。「時間をかけず簡単にきれいな歯並びにしたい」その代償が、患者様の大切な健康な歯や神経を失うことであることはぜひ知っておいていただければと思います。
ワイヤーやマウスピースを使う矯正治療は時間こそかかりますが、30年後の歯の健康を考えた場合、やはり王道の治療法です。安易にセラミック矯正に飛びつくのではなく、デメリットについても理解してから治療法を検討してみてください。その上で、あなたにとって「メリットの方が勝る」と判断できるのであれば、セラミック矯正も行うのも一つの手です。
ノアでは精度の高いセラミック治療だけでなく、世界水準の神経除去(精密根管治療)を行っております。
ノアでは患者様とじっくりお話しをさせていただき、お気持ちを最優先にした上で、美しさと健康をできる限り両立させる治療計画をご提案いたします。
監修者情報
坂田 尭久
(Sakata Takahisa)
- 医科歯科連携のクリニックで院長を経験。様々な体の不調(不定愁訴)でお悩みの患者様を歯科治療を通じて診る機会があり、歯の治療だけでなく患者様の健康をつくることがモットー。